an-angel-3486-miyuのブログ

23歳の一人息子を自死で亡くし、独り遺された母が胸の内を綴ります。

そのまま

換気をするため、ショウくんの部屋に入って窓を開ける。


外出中、いつもそうしていたように、ドアは開け放ったままにしてある。


ニ架の本棚では足りなくて、床にも積み重なった書籍。


ベッド、洋服、趣味だった釣りの道具、沢山のものが静かにじっとしている。


キッチンに立てば寂しげな、ショウくんの食器やお箸。


ショウくんのものはみんな揃って、主の帰りを待っている。


あんまり待たせちゃかわいそうだよ。


もうそろそろ、帰ってきてあげたら?

ひとりで

もしかしたら見えてるかな?家の周りの景色も、ショウくんがいたころとは随分変わった


よ。あんなに高い木が沢山あった林は、住宅地になって広い空が見える。よく二人で一緒


に行った家電量販店にはスーパーマーケットが併設されて賑わってるよ。


現実の時間は止まることなく確実に過ぎていくけど、お母さんの心の時間は、ときどき


ショウくんがいた頃へ後戻りする。


あの頃が懐かしいな。いろんなことがあったけど、やっぱり一緒に居てほしかったよ。


一緒じゃなくてもいい、せめてこの地球のどこかに居てほしかった。だって、天国は


あまりにも遠いんだもの...


これからもお母さんは、心の時間を行ったり来たりしながら、ショウくんがいないこの


世界で生きていかなきゃ。























思い出

ショウくんが天国に旅立ってから2年1ヵ月、


一人旅が好きだったショウくん、どうして天国行きの列車に乗ったの?


中学3年生の時から、春休み、夏休み、冬休み、いつも「青春18きっぷ」を2枚も使って


今はもう廃止になった夜行列車「ムーンライトえちご」で、新宿から新潟、北上して


青森、そして、大好きな北海道へ行っていたね。寝袋を入れた大きなザック背負って、


登山靴履いて、意気揚々と出掛けていたっけ。


久しぶりに旅の写真見せてもらったけど、とっても綺麗に撮れてるね。一人旅だから、


ショウくんはほとんど写ってないけど、ローカル線の列車や秘境駅、自然の景色も沢山


あって、改めて「こういうところに行ってたんだ」って思いながらしみじみと見ちゃい


ました。ただ、周りには何にもない田舎の駅に、ひとりで泊まる事の何が楽しいのか


お母さんにはさっぱりわからなかったけど。


あの頃の元気なショウくんのまま、時が過ぎて欲しかった。


25歳になったショウくんに逢いたいな。